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第16回:前置詞をイメージで

子どもに聞かれて困らない英文法のキソ[子ども英語先生編]
2020/12/2up
子どもたちの疑問や質問の答えに窮したことはありませんか? 子どもたちに英文法を分かりやすく説明するのは、なかなか簡単ではありませんね。 ここでは、『まんがでわかる「have」の本』(アルク刊)の著者である大竹やすまさ先生に、子ども英語の先生に向けて、本書の中から新たに加筆いただいた内容で、分かりやすくご解説いただきます。

なんで前置詞って一つの語に日本語訳がいくつもあるの?

前置詞は英語を理解する上でとても重要な品詞です。英語を習いたてのうちはinは「~の中」、fromは「~から」といった具合に、一つの前置詞に対して一つの日本語訳を当てれば理解ができるのですが、学習が進むとそうもいきません。さまざまな表現を学んでいくにつれて訳語が増えていったり、同じ日本語に異なる前置詞が使われるようになったりと使い分けに苦労した経験はみなさんにもあったのではないでしょうか。
まずはその難しさをクイズ形式で感じてみましょう。

Q.次の①~③の(  )に入る前置詞は何でしょうか?

① a glass ( ) milk グラス一杯の牛乳

② a key ( ) the door そのドアの鍵

③ news ( ) 9 o’clock 9時のニュース

学習者の多くは、訳語に「の」があることから全ての解答に of を使うことが考えられませんか? しかし正解はもちろん、① of、② to、③ atです。このように、前置詞は日本語訳だけの力では使い分けを理解することがとても難しい品詞だといえます。ではどのようにすれば生徒たちに前置詞をわかってもらえるようになるのでしょう。ここでも大きな力になってくれるのが語の「中心の意味」や「イメージ」です。今回は主にofという前置詞を使って、前置詞のイメージとは何かを考えていきましょう。

ofには「大きなものから小さいものが取り出されている」イメージがあると言われています。

(A) a glass of milk

(B) a cup of tea

大量に牛乳が入っている器からグラスでそれをすくい取れば、(A)「1杯の牛乳」が出来上がります。同様にすくい取る容器をカップに変えれば、(B)が「1杯の紅茶」になることも説明できますよね。では他の例も見てみましょう。

(C) He is one of the best baseball players. 彼は最高の野球選手の一人です。

(D) This house is made of wood. この家は木造です。

(C)は「最高の野球選手」という集団から「彼」を取り出している感じで、(D)は「大量の木材」から取り出したもので、家が作られたと考えてみましょう。たしかに全て「取り出す」イメージで説明ができていますね。少しやっかいな動詞の熟語ではどうでしょうか。

(E) Get out of here. ここから出ていってくれ

(F) At last, I am relieved of my stress. ついにストレスから解放された

(G) I’ve been trying to think of a new way. 新しいやり方をずっと考えている

(E)と(F)では何で「~から」なのにofが使われるのか。それはofが、あるものから取り出して「離す」という意味が生まれるからだったのです。場所から離れるよう指示しているのが(E)で、ストレスという存在から離れた結果、解放感を感じているのが(F)ですね。(G)はやや抽象的ですが、何か新しいやり方をうまく「引き出そうとしている」という感じで捉えてみてください。他にも例を挙げればキリがありませんが、学習が進むにつれて用法が多岐にわたる前置詞もこのように「中心の意味」や「イメージ」をもとにすれば用法をすっきりと整理することができるのです。

ここではofしか扱いませんでしたが、他の前置詞も同じように「イメージ」があります。もちろん、これによって全ての熟語や語法が簡単に説明できるというわけではありませんし、イメージ図を眺めているだけで英語の知識が増えていくわけでもありません。熟語や語法は覚えていくものだからです。しかし、この「イメージ」を活用することで暗記が楽になったり、学習者のモヤモヤが解消されることが多くなるのは間違いがないでしょう。困ったときには「イメージ」に頼ってみてはいかがですか。

大竹保幹(おおたけ やすまさ)

神奈川県立多摩高等学校教諭

大竹保幹(おおたけ やすまさ) 先生

1984年、横浜市生まれ。明治大学文学部文学科卒業。平成23年度神奈川県優秀授業実践教員(第2部門)表彰。文部科学省委託事業英語教育推進リーダー。趣味は読書。好きな作家はスティーヴン・キング。著書に『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』、『まんがでわかる「have」の本』(アルク)。

まんがでわかる「have」の本

『まんがでわかる「have」の本』(アルク)

大竹保幹(おおたけ やすまさ)

大人になっても英語の苦手意識がなくならない人は必読! 基本動詞を軸に、文法をはじめとした「英語のしくみ」をまんがでのやさしい講義形式で学びます。

子どもに聞かれて困らない英文法のキソ

『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』(アルク)

大竹保幹(おおたけ やすまさ)

本書では、30パートの英文法の項目ごとに分かりやすい言葉で説明しています。冒頭にはクイズが用意されており、また雑学的な小話も盛り込まれているので、楽しみながら英文法を復習することができます。