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第2回:時制 ①

子どもに聞かれて困らない英文法のキソ[子ども英語先生編]
2019/6/4up
子どもたちの疑問や質問の答えに窮したことはありませんか? 子どもたちに英文法を分かりやすく説明するのは、なかなか簡単ではありませんね。 ここでは、『子どもに聞かれて困らない英文法のキソ』(アルク刊)の著者である大竹やすまさ先生に、子ども英語の先生に向けて、本書の中から新たに加筆いただいた内容(全12回)で、分かりやすくご解説いただきます。

第2回:時制 ①

Q.自分が「東京に住んでいる」ことを伝えたいとき、次の①と②ではどちらの英文が適切でしょうか。

① I live in Tokyo.

② I am living in Tokyo.

「住んでいる」という日本語が伝えている状況を、現在形と現在進行形のどちらで表すといいかを教えるのは案外大変です。英語を習い始めたころは、動詞のing形というものを知らないので①のように素直に答えることができますが、なぜかある程度学習が進むと、「している」という日本語につられて②のような英語を使う子が出てきてしまいます。 もちろん、基本的には①が正解になるわけですが、みなさんもご存知のように②も状況次第では間違った英文ではありません。今回のポイントは、進行形を使う理由です。

beと動詞のing形によって表される「進行形」は、動作が「今まさにやっていること」を強調する形です。同じ動作でも、それが「一時的」なものなのか「習慣的」なものなのかを区別するためにこの形があるのですよね。

(A) I usually read this email newsletter. (このメルマガをいつも読んでます)

(B) I am reading this email newsletter now.(今、このメルマガを読んでます)

メルマガを購読して定期的に読んでいることを伝えたいのなら現在形を使った(A)ですが、今まさにメルマガを読んでいるなら(B)です。

こういった違いがあるために、live、have、likeのように、住んでいるところ、持ち物、好きなものといった「毎日変わらないこと」を表す状態動詞には、進行形を使わないのが普通です。それでも、あえて進行形を使って「一時的」であることを伝えたいときもあります。

たとえば、こんな状況ならどうでしょうか。

(C) He wears a suit and tie. (彼っていつもスーツにネクタイだよね)

(D) Look! He is wearing a suit and tie.(見て! 彼、スーツ着てネクタイまでしてるよ)

普段はTシャツで過ごしている人がスーツを着てきたら、それは「今日だけ」という一時的な状態です。その特別感を表すために進行形を使っているのです。

このように、状態動詞であっても進行形にしてはならないということはありません。クイズにある② I am living in Tokyo. は、単身赴任や留学などで「今だけ東京に住んでいる」ことを表しています。子どもたちにとってこの状況はあまり当てはまらないので、liveをそのままの形で使っている①のほうが一般的には「正解」ということになっているのですね。

では、このことを子どもたちにどう伝えればいいでしょうか? 冒頭のクイズに対しては「東京に住んでるのは今だけなの? 来週には大阪にいるかもしれないってこと?」と住所がそんなに頻繁に変わるものではないと気付かせる聞き方が考えられます。likeやknowなどであれば、「『今だけラーメンが好き』とか『今だけ君のこと知ってる』ってなんだか変だよね」と日本語の不自然さに訴えてみてもいいでしょう。

日本語の「している」が表しているのが「習慣」なのか「今だけのこと」なのか。日本語訳にとらわれずに、伝えたい意味に合わせて動詞の形を選ぶことの大切さを教えてあげたいですね。

大竹保幹(おおたけ やすまさ)

神奈川県立多摩高等学校教諭

大竹保幹(おおたけ やすまさ) 先生

1984年、横浜市生まれ。明治大学文学部文学科卒業。平成23年度神奈川県優秀授業実践教員(第2部門)表彰。文部科学省委託事業英語教育推進リーダー。趣味は読書。好きな作家はスティーヴン・キング。著書に『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』、『まんがでわかる「have」の本』(アルク)。

子どもに聞かれて困らない英文法のキソ

『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』(アルク)

大竹保幹(おおたけ やすまさ)

本書では、30パートの英文法の項目ごとに分かりやすい言葉で説明しています。冒頭にはクイズが用意されており、また雑学的な小話も盛り込まれているので、楽しみながら英文法を復習することができます。